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なぜ、栄養失調になる高齢者が増えているのでしょうか。 そこには、高齢者の「肉」に対する先入観が壁になっているのだといいます。 昭和53年に国は成人病対策として、栄養指導の指針を打ち出し、「肉の食べすぎ」や「脂の摂りすぎ」を制限するように指導しました。その後も、メタボ対策として、40歳以上の人にはその指導をさらに強化。結果、肉の食べ過ぎは「悪」というイメージが浸透したのだといいます。 しかし、一方で65歳以上を対象に寝たきりなど介護が必要になるのを防ぐために、肉などのたんぱく質を積極的に摂るような栄養指導が8年前から登場しています。 この2つの指針が併存しているために、肉は控えるべきなのか、それとも摂るべきなのかという2つの疑問のあいだで、様々な混乱が起きています。「肉を控える」から「肉を摂る」へのギア・チェンジはするべきなのでしょうか? 高齢者の健康状態は、個別性が大変高いので、一概には言えませんが、心筋梗塞や糖尿病などの既往症がある人は簡単にはギア・チェンジをすべきではないとしたうえで、専門家は、体重が落ち始めたら、要注意だといいます。「やせ」は栄養状態が悪くなりはじめたと考えていいといいます。